- 松尾曜子
コスモス
キク科コスモス属

メキシコ原産のコスモスは、植民地時代にスペインに渡り、
日本には幕末に渡来ののち、明治時代に広がった。
割合丈夫で、背の高いものは3メートル近くあり、
一株の花数が多いので、数株で面の風景になる。
コスモスの名前の意味は、
ギリシャ語で、宇宙、秩序あるもの、という意味。
コスモスを実際に見てみると、
なるほど、よく観察して付けた名前だな、と思う。
花弁は8枚、ガクも8枚。
1枚の花弁の端には3つの切り込みがある。
茎は、根元の方が互生になっているものもあるが、基本十字対生。
他のキク科の植物では、同じ株の中で数にばらつきがあるのに、
コスモスはかなり高い確率で数に関する誤差が無い。
当然のように、
花には8枚の花弁が付くし、3つの切り込みも必ずのように出てくる。
しかも一株に成る花の数が多いから、
一面に同じ顔したコスモスが広がる様は何かの法則の元に、
星空を形成する宇宙のような印象がある。

コスモスから見えてくる数字も興味深くて、
十字対生の4(2:2で枝が対生に生えてくる)や、花弁とガクの8は、
四方(東西南北)、八方(四方に加え、北東北西南東南西)を連想するし、
花弁の3つの切り込みも8枚掛け合わせると、
ひとつの花に24の切り込みがあって、一日の時間の長さと同じ区切り。
それに12の倍数だから、
一年の季節の流れや干支や星座なんかにも関係がありそうに感じる。
地球の人間生活の中で馴染みの深い数ばかり。
コスモスという名前は、
ある一定の規則性、連続性、変えられない法則が宇宙の仕組みを作っているなら、
この地球の規則性もまた宇宙、ということなのだろうか?

コスモスの葉は鋸歯が驚くほど深く、残された葉は糸のよう。
キク科の中でもかなり細い方だと思う。
葉の鋸歯が深いという事は、風がよく入るということ。
なぜ、日光を取り入れる事よりも、風を迎い入れたいのか?
遠くから運ばれる秋の風から、八方を感じ取るのかしら?
そんなことを考えながら、季節は一日づつ冬に向かっている。
___ちなみにコスモスの対義語はカオス。
物事が始まる前の無秩序。植物でいうと種の状態。